H-AIR HIROSHIMA ARTIST IN RESIDENCEひろしまアーティスト・イン・レジデンス
アニメーション関係者を対象とするレジデンスプログラム「ひろしまアーティスト・イン・レジデンスは、参加を希望するアニメーション関係者から募集を募り、選出されたアーティスト3名を広島市に招き、短期間の滞在制作活動等を行ってもらうことを通じて、招へい者のキャリア構築の一助とするほか、広島のアート・カルチャー環境を豊かにすることを目的とします。
H-AIR2026は30か国74名の応募中から、クララ・トレヴィサン(ブラジル)、ベンス・フラヴァイ(ハンガリー)、ゾハール・ドヴィール(ドイツ)の3名を招聘アーティストとして決定しました。アーティストは6月8日(月)〜8月26日(水)の80日間、広島市に滞在し、自身の制作活動に加え、地域との交流プログラム「街かどアニメーション教室」に講師として参加します。
ARTISTS
滞在アーティスト
クララ・トレヴィサン(ブラジル)
プロフィール
ブラジル、ポルト・アレグレ出身のビジュアルアーティスト。
フリーランスのイラストレーター、アニメーター、アートディレクターとして活動。
探求のテーマは「空想」「想像力」「非人間(ノン・ヒューマン)」であり、特に神話上の生物に強い関心を寄せている。表現手法としては、紙への描画(ドローイング)や2Dのフレーム・バイ・フレーム(手描き)アニメーションを最も得意とするが、アナログな造形物の制作も手がける。
2022年から2024年にかけて、修士課程「ReAnima」に参加。自身初の監督短編映画『Mother of Dawn』(2025年完成)を制作した。この作品は彼女にとってパペットやストップモーションを用いた初の試みとなり、世界各地の映画祭で上映・受賞を果たしている。
プロジェクト概要
Investigations on Therolinguistics
アーシュラ・K・ル=グウィンの著作『アカシアの種』とその作品群に触発され、ル=グウィンが創造した架空の機関「セロリンギスティクス(獣言語学)協会」をめぐる概念を探求したいと考えています。この協会は、動物、植物、鉱物といった「非人間」の言語や詩学を研究する組織です。作中でル=グウィンは、人間が理解できるかもしれない、あるいは決して理解できないかもしれない、多種多様な言語の領域の可能性を提示しています。
異なる文化や言語に身を置くことは、未知なるもの、異なる理解の手法、そしてコミュニケーションの戦略に対して、自らを開放することに繋がります。だからこそ、このレジデンス期間は「セロリンギスティクス」の概念を掘り下げるためのインスピレーションに満ちたものになると信じています。
この環境を構成する非人間の生物とは何であり、彼らの言語はどのような姿をしているのか。
私は、広島の環境、文化、神話から着想を得て、私たち人間には完全には理解し得ない存在の言語を表現する「手描きのアニメーション・ループ」を制作したいと考えています。また、厳密で科学的な記号を内包する「図解(ダイアグラム)」という構造を用いながら、私たちにとって深く神秘的で、かつ不確かなものを表現するという試みに挑戦したいです。これらのドローイングとアニメーション・ループは、ル=グウィンのテキストに基づく短編映画開発の出発点となります。
ベンス・フラヴァイ(ハンガリー)
プロフィール
ブダペストを拠点に活動するアニメーションディレクター、イラストレーター。
2023年、モホリ=ナジ芸術大学(MOME)を卒業。卒業制作のアニメーション作品『I would eat it if I could』は、世界各地30以上の映画祭で上映され、2025年のアニマ国際アニメーション映画祭(Anima)では最優秀学生短編賞を受賞。
大学卒業後、アニメーションスタジオ「Piros Animation」を共同設立。スタジオでの活動に加え、雑誌のエディトリアル・イラストレーションなども精力的に行う。
創作活動における一貫したテーマは「日常生活」。日々の暮らしの中でインスピレーションを受けた、ささやかな出来事を作品の中に閉じ込める(カプセル化する)ことに情熱を注いでいる。
プロジェクト概要
GUIDED BY YOU
このプロジェクトのアイデアは、自分自身の視点と、そこに暮らす人々の経験を掛け合わせ、街を深く探求することから生まれました。
その街に住む人は、日々どんな景色を見ているのか。そして、「あなたにとって、この街の『お気に入りの場所』はどこですか?」と尋ねられたら、一体どんな答えが返ってくるでしょうか。それは公園のベンチや一本の木、あるいは特定の建物かもしれません。もしかしたら、行きつけのバーで見かける「あの人」という答えだってあるかもしれません。
私は、参加者がこのシンプルな問いに対して、自分なりの解釈を表現できるワークショップを開催したいと考えています。
絵を描く、色を塗る、あるいは小さな立体作品を作る。表現方法は自由です。
プロジェクトの最終的な成果物として、参加者の皆さんのクリエイションを一冊の「ガイドブック」としてまとめ、アートブックを出版します。そして、この世界に一つしかない「広島の地図」に導かれながら私が旅をする、一編のアニメーション映画を制作する予定です。
ゾハール・ドヴィール(ドイツ)
プロフィール
ハンブルクを拠点としたアニメーションディレクター。
2Dと3Dアニメーションを融合させ、シュールな映像表現にダークユーモアと感情豊かなストーリーテリングを掛け合わせた作風が特徴。独学でアニメーションを習得し、アイデンティティ、孤独、愛、そして他者とのつながりを求める人間の欲求といった、哲学的・心理的な問いを探求する独自の視覚言語を確立。
近作の『Butterfly Kiss』は米国アカデミー賞の公認長編・短編アニメーション賞の候補資格を得た作品であり、複数の賞を受賞し、国際的な映画祭で広く紹介されている。
イスラエルで育った彼女の芸術的な声(アーティストとしての主張)は、絶え間ない紛争に晒された地域での生活経験によって形作られた。現在は、遊び心のある親しみやすいトーンを保ちつつ、政治的・社会的なテーマに取り組む新しいアニメーション・プロジェクトを開発中。
プロジェクト概要
Pax Æterna
戦火に包まれた地球のはるか上空に、平和の象徴であるハトたちのための豪華な聖域「パクス・アエテルナ・リゾート(Pax Æterna Resort)」がそびえ立っています。しかしそこは時を経て、平和という概念を冷笑的に利用して利益を貪るだけの、空虚な施設へと変貌してしまいました。リゾートを運営するのは、この世の火の粉を避け、快適な場所でくつろぐ客たちを接待する「ハト」たちです。
理想に燃える若き郵便ハトのジョナは、仕事に就いてまだ2日目。そんな彼女のもとに、一通の緊急配達物が届きます。それは、最後に残された「平和のハト」へと宛てられた「オリーブの枝」でした 。郵便ハトとして、彼女は何としてもそのハトから受領の署名をもらわなければなりません。さもなければ、仕事を失うリスクがあります。
しかし、年老いたその「平和のハト」は受け取りを拒否します。一生をかけてオリーブの枝を運び続け、それがどこにも辿り着かなかった現実に絶望していたのです。彼女は代わりに、ジョナを連れてリゾート内を巡るツアーへと繰り出します。リゾートの真の姿を彼女に見せつけるために。
二人は道中、平和について延々と語りながらも、それを実現するために何ひとつ行動を起こさない客たちに遭遇します。偽の活動家、宗教観光客、犯罪者、そしてクィア・レイバーたち。
ジョナの旅は、「希望」と「幻滅」の物語です。リゾートの客たちが話す台詞は、平和に関する実際のインタビュー記録に基づいています。風刺、寓話、そして実録の証言を織り交ぜることで、この映画は「平和」という言葉が今もなお何らかの意味を持ち得ているのかを問いかけます。あるいはそれは、この対話を再び世界に繋ぎ止めるための、あまりにも脆い試みなのかもしれません。
招聘アーティスト数
3名
招聘期間
2026年6月8日(月)〜8月26日(水) 80日間
募集期間 募集は終了しました
2025年12月1日(月)10時〜2026年1月31日(土)23時59分
選考委員
土居伸彰、山村浩二、宮﨑しずか
申込み方法
以下の応募フォームに必要事項を入力し、企画書を添付の上、応募してください。企画書の様式は問いませんが、次の事項は必ず記載してください。
- プロジェクト概要
- 本レジデンスへの参加が当該プロジェクトに必要な理由(自身の新作プロジェクトに取り組む場合)
- なぜ広島への訪問と滞在を必要とするか(広島での滞在に基づいた作品に取り組む場合)
- レジデンス規約内の「3 選考 (2)選考基準」を満たすのであれば、そのアピール
なお、企画書の枚数はPDF10枚以下とし、英語又は日本語により作成してください。
レジデンス規約を熟読のうえ、応募してください。
◎レジデンス規約(PDF)
1月31日をもって応募を締め切りました。たくさんのご応募をありがとうございました。
前回の様子
H-AIR2024の招聘者・レポート等はこちらでご覧ください。
https://animation2024.hiroshimafest.org/air/