ひろしまアニメーションシーズン2022

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2026.03.06

【開催レポート公開】~広島からベルリンへ~ 『花緑青が明ける日に』特別試写会

ひろしまアニメーションシーズン2026(8月19日〜23日開催)のプレイベントとして、2026年3月1日、ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出されたアニメーション映画『花緑青が明ける日に』の特別試写会を、比治山大学で開催しました!

本作は、日本画家でもある四宮義俊監督がおよそ10年をかけて完成させた長編アニメーションです。花緑青をはじめとする圧倒的に美しい色彩表現に、会場に集まった約100名の来場者はスクリーンに見入っていました。
試写会後半には、本作の特殊映像を担当された鋤柄真希子さん(SUKIMAKI ANIMATION)さんと四宮義俊監督によるトークが行われました。四宮監督は、タイトルにもなっている「花緑青」という本作品の重要なモチーフについて、次のようなエピソードを語ってくださいました。
「リサーチをしているときに花火屋さんに取材をしたところ、“昔はハナロクというものがあった”という話を聞いたんです。調べていくうちに、日本画の絵具として使われていた顔料の花緑青と、花火屋さんが使っていた花緑青が同じものだと気づきました。そこに運命を感じました。」

左から四宮監督と鋤柄真希子さん

本作の完成には、本映画祭も関わっていました。ひろしまアニメーションシーズン2024にて四宮義俊監督が行ったワークショップ「ワークショップ「『A NEW DAWN(邦題未定)』:「様々な人の想いが画面に共存する」 映画の1シーンを一緒につくる」では、ワークショップ参加者が、広島県の特産品である熊野筆で白い紙に赤い線を描き、黒い紙に針で小さな穴を開けていくという緻密な作業を重ね、400〜500枚もの作画を行い、映画のクライマックスである、花火が空から静かに舞い落ちていく印象的なシーンに使用されました。
参加した方からは、「ワークショップではどんな映像になるのかわからなかったのですが、まさかこんなに大事なシーンに使われ、美しい表現になるとは思いませんでした」と感動する声も聞かれました。

ワークショップの様子(HAS2024記録写真より)

さらに、美術を学ぶ比治山大学の学生からは、作品の中でさまざまな表現技法が用いられていたことへの驚きや、それらが構想の段階でどのように組み込まれていったのかといった質問が寄せられました。四宮監督は、あらかじめ自分のコントロールを超えた表現になることも想定していたと語りながら、学生たちへ次のようなメッセージを送りました。
「大学の時に見つけた表現や課題は、そんなに変わるものではありません。今の僕は、絵を描きたくても綺麗な服を着て舞台挨拶に来なければいけない立場で(笑)。だからこそ学生の間は、目的を持たなくても、興味を大切にするような“何も(明確な目的の)ない時間”を大事にしてほしいと思います。」

質問する大学生たち

そのほかにも、登場人物チッチの裏設定の話題や、四宮監督と鋤柄さんがお互いに好きなキャラクターについて語る場面もあり、会場は和やかな雰囲気に包まれました。映画制作の裏側や作品への思いに触れることができる、貴重な時間となりました。


宮﨑しずか・ひろしまアニメーションシーズン共同プロデューサー/比治山大学教授