ひろしまアニメーションシーズン2022

Hiroshima Animation Clubひろしまアニメーションクラブ

幼稚園・保育園向け

ぴかぴかアート教室

こどもたちの未来のきもちのよい暮らしのために
レポート:宮﨑 しずか


比治山大学短期大学部美術科・幼児教育科とサニクリーンアカデミーでは、幼児の未来のきもちのよい暮らしのための社会貢献活動を行っています。人々にとって気持ちのよい状態といのは、身の回りの清潔さ、美しさの他に心の充実やアイデアの実現も含まれることでしょう。私たちはこのプロジェクトでぴかぴかランタンというアニメーションを投影できる装置を比治山大学短期大学部美術科・幼児教育科が共同で開発しました。そしてそれをこどもたちに安全にクリエイティブに楽しんでもらうためのぴかぴかアート教室が誕生しました。ぴかぴかランタンは、スライドを交互に動かして自分の絵が動いているように見せることもできる手持ちプロジェクターようなもので、江戸時代にあった幻灯機から着想を得ています。子どもたちは、自分の絵が壁や天井に大きく投影されて、普段の生活の場所を光と影の不思議な空間に様変わりすることを体験し、子どもたちの興味の探求、好奇心を広げています。このアニメーションシーズンの活動としては、こどもたちの未来をアニメーションで輝かせるために、ぴかぴかアート教室を各所で行いました。こどもたちは色々な遊び方を試して見つけて、主体的な遊びへと結びつけています。

プログラム
日 時 
6月25日他、2022年度1年間かけて継続的に
場 所 
幼稚園・保育園・認定こども園・大学公開講座など 

協 力 
比治山大学・比治山大学短期大学部, サニクリーン中国, 一般社団法人サニクリーンアカデミー

小学校・中学校・
児童デイ向け

アーティストと触れ合う教室

ボーダレスアートスペースHAP・ふれあい教室にて
レポート:宮﨑 しずか


アーティストたちにとって、観光地を訪れることや買い物に行くことは半年もいれば、容易にできていくことです。けれど、普段、陽の当たらない密やかに存在する社会やそこにいる子どもたちと触れ合い、文化の交流をすることは、国内に住まう人でもなかなか難しいことです。今回の企画では、海外から来た2人のアーティストたちと毎日は学校に行けない子どもたちや、生きていきにくさを感じている子どもたちとが会ってみることでした。それは、世界の端っこと端っことをつなげることであったかもしれません。ボーダレスアートスペースHAPは障害者手帳を持つ子どもたちが多くいる放課後クラブで、療育=アートをテーマとして掲げています。マフブーベフ・カライが初めてここを訪れた時、目をキラキラさせて、私は何時間でもこの子たちと一緒にアートを作れるわ!といって、一つ一つの作品を興味深そうに大切そうに手に取ったり、話しかけてくる子どもたちにいろんな質問を返しながら交流していました。ナタ・メトルークは、まったく自分の経験になかった状況に戸惑いも感じていましたが、すぐにその場を受け入れて、淡々といつもどおりの絵を描き始めました。子どもたちは地球の裏側から来た友人を昨日も一緒にいたかのように、自分の部屋に招き入れて、楽しい時間を過ごしました。

プログラム
日 時 
7月27日(水) 15:00-17:30 HAP(Mahboobeh)
場 所 
ボーダレスアートスペースHAP-S

日 時 
7月27日(水) 17:30-18:30 HAP(Nata)
場 所 
ボーダレスアートスペースHAPシンつるみ
協 力 
木村 成代 (HAP代表)

日 時 
8月9日(火) 10:30-11:30 交流会
場 所 
ふれあい教室・中
協 力 
広島市教育委員会 曽根 朋也先生 駒井 高治先生

中学校向け

国語教育×アニメーション

国語教育× アニメーション
比治山女子中学・高等学校× ひろしまアニメーションシーズン


アニメーションと国語教育を組み合わせる試みを行いました。文字テキストだけではなく、映像・画像等と文字の関係性についても深める必要がある新指導要領への変更に伴い、アニメーション映像を批評文執筆の授業用教材として用いることで生徒の言語化能力をより一層高めることを目的とします。教材(指導案やワークシート)作成にあたっては、国語教育の専門家とアニメーションの専門家が、現場で実際に指導にあたる先生とともにディスカッションしながら制作することで、国語の指導要領と適合しつつ、アニメーションへの理解を深める教材としても機能するような教材開発を行いました。
ワークシートの作成にあたっては、「映像という非言語的なものをいかに言語化するか」というプロセスを意識しました。映像を構成する要素を4つ( 映像、音、キャラクター描写、原作との比較)に分け、その要素に専念して読み解きを行ってもらうことで、短い時間でアニメーションの言語化をしやすくするよう、誘導しました。また、4つの要素それぞれについて、アニメーションの専門家が書いた批評文を参考資料として用意。自らの批評文の執筆を行ったあとに比較対象とすることで、生徒がより読みを深めることができるようにしました。

プログラム
〈教材作成〉
題材となるアニメーション作品
『注文の多い料理店』(演出:岡本忠成/1991年製作)
指導案・ワークシート作成:
金田富起子
指導案・ワークシート監修:
奥泉香

ディスカッション・メンバー
奥泉香、金田富起子、土井一生、
土居伸彰、田中大裕、野村崇明

感謝
谷頭和希、REM国語部会

〈批評作例執筆〉※50音順
田中大裕、塚田優、土居伸彰、野村崇明、宮本裕子、山村浩二

〈授業実施〉
6月末~7月頭に授業実施
授業実施校
比治山女子中学校 3年桜組・藤組(国語科 土井一生教諭)

授業は4時限にわたって実施。
1時限目: 映像作品の視聴。一度目の批評文執筆
2時限目「: 映像」「音」「キャラクター」「物語(原作との比較)」の4グループに分かれての分析、批評文執筆。
3時限目: 他の生徒の書いた批評文を読んで、再度批評文を執筆。
4時限目: 批評文の完成。専門家による批評文との比較。振り返り。

オンライン視聴協力
ねこじゃらし
協力
工藤雅子(チャイルドフィルム)、山下泰司(WOWOWプラス)

高校向け

アルス・エレクトロニカ × ひろしまアニメーションシーズン 高校生の国際交流プログラム

交流・体験・学びで若者の可能性を拓く「ひろしまアニメーションクラブ」
レポート:イソナガアキコ


ひろしまアニメーションシーズン・アカデミー部門の文化教育事業の一つとして、広島とオーストリアをオンラインでつないで開催された高校生の国際交流プログラム。参加したのは広島市立基町高等学校の創造表現コースの1~3年の12名の生徒と、オーストリアのボーグ・バート・レオンフェルデン校メディアアートコースの12名の生徒たち。このプログラムはオーストリアのリンツ市を拠点に活動するアルス エレクトロニカの協力のもと開催されました。

プログラム
日 時 
5月19日(木) 事前準備ミーティング(オーストリア)
5月24日(火) 事前準備ミーティング(日本)
5月30日(月) 15:30-17:00 第1回交流
6月2日(木) 16:30-18:00 第2回交流
場 所 
オンライン
参加校 
広島市立基町高等学校・ボーグ・バート・レオンフェルデン校(オーストリア)
協 力 
アルス エレクトロニカ(オーストリア)

「アルス エレクトロニカ」という名前、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
 アルス エレクトロニカは、オーストリアのリンツ市を拠点に活動するクリエイティブ機関です。アートとテクノロジーを掛け合わせた最先端研究や教育文化事業を行いながら、文化や芸術を文脈にした未来志向のまちづくりを手掛けており、世界最大級のメディアアートの祭典や国際コンペを開催していることでも知られています。
 先進的企業との共同研究やプロジェクトも多数抱え、世界の最前線で活動するアルス エレクトロニカが、日本の高校生を対象にした教育プログラムを実施するのは今回が初めてという、とてもエキサイティングな試みでした。
詳細なレポートはこちら→https://animation.hiroshimafest.org/journal/00000437/

ウクライナへの思いを込めてデザインの作品を作っていた基町高校の生徒の様子。オーストリアのボーグ・バートレオンフェルデンには、ウクライナから来ている高校生が2人おり、プレゼンテーションで互いの距離が近くなった。自らの作品を見せ合うことが、その人柄やその思考、文化の背景を物語ることになり、充実した交流になりました。

アルチンボルトに感銘を受けて自画像を描いた基町公庫の生徒のプレゼンテーションの様子。お互いの国のことは知らなくても、美術の歴史についての知識は共通しているところがあり、出会って間もないうちにすぐに打ち解けることができた。秋から2校は、共同制作することが決まっており、これからも期待が持てます。(宮﨑)


BORG Bad Leonfelden
Laura Sprenger, Johanna Leitner, Jonathan Wimmer, Elisa Böcksteiner, Julia Koll, Magdalena Greger, Anika Birngruber, Antonia Schweighofer, Simone Danner, Emma Haidinger, Nina Bruck
担当教員:Hoffelner Wolfgang 先生

基町高等学校
栗栖 千育、持田 杏樹、岩田 帆奏、村上 竜凰、田原 そら、田中 葉月、楠井 彩夏、福本 悠那、サンガー 梨里、黒目 明日香、舟尾 凛、松田 こころ 
担当教員:上川 英紀 先生

受賞作の活用

ひろしまアニメーションシーズン2022受賞作品を用いた教材づくり

COMING SOON